相続解説/相続廃除の効果
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相続資格の喪失
推定相続人の廃除の審判に対しては、廃除された推定相続人から即時抗告ができますので、その審判の確定によって効力を生じます。
廃除の審判が確定したときは、裁判所書記官は遅滞なく被廃除者の本籍地の市町村長に対し、その旨を通知しなければならず、また、申立人は、確定の日から10日以内に廃除の申し入れをしなければなりません。
被廃除者は、審判の確定が相続開始前にあったときは、そのときから相続資格を失い、その確定が相続開始後にあったときは、相続開始のときにさかのぼって相続資格を失います。戸籍法上の廃除届は、報告的届出にすぎません。
被廃除者に子(被相続人の孫)がいるときは、その子が代襲して相続人となります。被廃除者は、相続欠格の場合と異なり、遺贈を受けることができます。
廃除と対抗問題
廃除の効果は、絶対的で、第三者に対しても及びます。すなわち、相続開始後に被廃除者がした相続財産の処分は、相続開始時にさかのぼって無権利者の処分となります。
被廃除者から相続財産中の物または権利を譲り受けた第三者は、民法192条による即時取得(動産の場合)などの保護を受けない限り、相続人に対抗することはできません。
たとえば、被相続人の遺産に属する不動産につき、廃除審判の確定前に被廃除者から当該不動産を買い受けた第三者は、被廃除者名義の相続登記を正当なものと信じて取得登記をしたとしても、真正相続人に対して、その権利を主張することはできません。
また、被相続人の遺産に属する不動産につき、被廃除者の債権者が代位により、被廃除者を含めた共同相続登記をしたうえ、被廃除者の処分を差し押さえたとしても、その差し押さえは無効です。
相対的効力
廃除の効果は、欠格の場合と同様、相対的であり、廃除を請求した被相続人との関係でのみ、相続資格を失うにすぎません。
なお、嫡出でない子を廃除した実親が、その子を養子にするなど、被相続人と被廃除者の間の廃除後に生じた身分関係にもとづき、新たな相続資格を取得することは、妨げられません。
廃除の取り消し
廃除の取り消しとは、被相続人が、廃除によって推定相続人の相続資格を失わせたのち、その効果を失わせることをいいます。
被相続人は、いつでも家庭裁判所に廃除の取り消しを請求することができ、遺言で廃除の取り消しの意思表示をしたときは、遺言執行者において、家庭裁判所に廃除の取り消しを請求しなければなりません。
廃除の取り消しにつき、家庭裁判所が関与するのは、手続きの慎重を期し、権利関係を明確にするためですので、家庭裁判所は、その申し立てが真意にもとづくことの確認が得られたときは、取り消しの審判をしなければなりません。
廃除の取り消しの審判に関しては、不服申し立てはできませんので、被廃除者への告知によってただちに効力を生じます。相続開始後に取り消しの審判があったときは、訴求して相続資格を回復します。廃除の場合と同様、裁判所書記官による市町村長への通知と、申立人による戸籍法上の届出を要します。
廃除者がある場合の登記
共同相続人中に被廃除者があって、その代襲者がないときは、被廃除者を除外して他の共同相続人から相続登記を申請することができます。
廃除に関する事項は、被廃除者の戸籍に記載されますので登記原因証明情報として、相続を証する戸籍・除籍全部事項証明書(戸籍・除籍謄本)などの戸籍関係書類または法定相続情報一覧図の写しを提供すれば足り、廃除の審判書の謄本の提供は要しません。廃除に関する事項でその取り消しのないものについては、転籍などの際も移記されます。
被廃除者に子があるとき、その子が代襲して相続人となりますので、代襲者がないことを証明する、その出生から被相続人死亡時までの被廃除者の戸籍・除籍全部事項証明書(戸籍・除籍謄本)などをも提供する必要があります。
なお、法定相続情報一覧図には、被廃除者は表示されず、代襲相続人(孫など)があるときは、その氏名などが表示されますので、その写しの提供をもって足ります。