相続対象及び効力解説/相続財産承継
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包括承継の原則
相続人は、相続開始のときから原則として、「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継」します。これを包括承継または一般承継といいます。この効果は、相続開始のときに法律上当然に発生し、相続人が相続開始の事実を知ると否とに関わりません。
相続財産は、積極財産および消極財産(債務)をもって構成されます。
相続人に承継される「一切の権利義務」には、不動産の所有権、預貯金など債権、借受金債務などの個別具体的な権利義務を含みます。
また、被相続人が売買の申し込みを受けた地位、売主としての瑕疵担保責任、契約の解除権、善意・悪意、故意・過失などといった財産法上の法的関係ないし法的地位も含まれます。
包括承継の例外
1一身専属的な権利義務
包括承継の原則の例外として、被相続人の一身に専属した財産上の権利義務は承継されません。一身専属権というのは、その性質上、被相続人だけが受けるべきもの(帰属上の一身専属権)をいいます。
どのような権利義務が被相続人だけに帰属するものとして相続人に承継されないかについては、一般的にはその個性や人格に深く関係する権利義務がこれに該当します。
民法上、代理権、使用貸借における借主の地位、雇用契約上の地位など、当事者の死亡を法律関係の消滅原因とするものがあり、これらは一身専属的なものの法定例ということができます。配偶者居住権や配偶者短期居住権もこれに属します。
また、例文の規定はないものの帰属上の一身専属権とされるものとして、婚姻費用分担請求権や扶養請求権、生活保護法にもとづく保護受給権などがあります。
ただし、これらが一定額の給付請求権として、個別具体的にすでに発生していた場合には、相続の対象となります。
2祭祀財産
系譜、祭具および墳墓の所有権などの祭祀財産は、相続一般とは別個のルールにより、祭祀を主宰すべき者が承継しますので、相続財産には含まれません。
葬儀費用は、相続開始後に生じた葬儀社などとの間の契約によって発生するのが通常ですから、相続財産(相続債務)には含まれず、問題は誰がこれを負担するかという点です。
この点については、考えが分かれています。
第一に、相続人共同負担説があります。これは、相続人の一人が葬儀費用を負担した事案につき、その相続人らが法定相続分に応じて分割承継し、遺産分割の対象とならないとしています(東京高等裁判所決定昭和30年9月5日)。
第二に、喪主負担説があります。これは、葬儀費用は実質的に葬式を主宰した者(原則として喪主)が負担すべきとするものです(東京地方裁判所判例昭和61年1月28日)。
第三に、相続財産負担説があります。これは、葬儀費用は民法上の相続財産に関する費用に含まれるとするものです(盛岡家庭裁判所審判昭和42年4月12日)。
香典については、まず葬儀費用に充てられ、その残りがある場合には、葬儀費用の負担につき実質的に葬儀を主宰した者が負担するべきと解すれば、同人に対する贈与として取り扱うのが相当と考えられています。