遺産の分割/審判による分割
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審判による申立て
遺産分割の審判の申立ては、相続開始地(被相続人の従来の住所地)を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所に対して行います。
遺産分割の当事者全員が申立人または相手方として参加すべきことは言うまでもありません。申立書の記載事項や添付書類は調停の申立てと同じです。
調停の申立てが先行し、これが不成立となった場合には、調停の申立てのときに審判の申立てがあったものとみなして、審判手続きが進められます。
審判手続
審判による遺産分割は、民法906条に規定する遺産分割の基準にしたがって分割することを要します。特別受益者または寄与分を受けるべき者があるときは、修正された具体的相続分に応じて遺産の分割が行われます。
遺産分割の審判は、即時抗告期間の経過により確定し、金銭の支払い、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力ある債務名義と同一の効力を有します。
換価命令
家庭裁判所は、遺産分割の審判をするため必要があると認める場合は、相続人(換価人)に対し遺産の全部または一部の競売を命じ、または共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示したものがなければ、任意売却を命じる中間審判をすることができます。
遺産分割の審判の前提として家庭裁判所の換値命令にもとづき、換価人がした不動産の任意売却にともなう買受人のための所有権移転の登記手続きについては、次のようになされます。
第一に相続による所有権移転の登記をしたうえ、第二に登記権利者を買受人、登記義務者を相続人全員とし、買受人と換価人が、換価人の代理権限を証する情報として任意売却を命じた審判書の謄本(確定証明書付き)を提供して、売買による共有者全員持分全部移転の登記を申請することとされています。
競売による換価手続きの場合もその前提として、相続登記を要します。
審判または調停の申立てがあった場合の保全処分
家庭裁判所は、遺産分割の審判または調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てによりまたは職権で財産の管理者を選任し、または管理人に対し財産の管理に関する事項について指示することができます。
この管理者は遺産管理者と呼ばれていますが、その権限については不在者の財産管理人に関する民法28条が準用されています。
したがって、遺産管理者は家庭裁判所の許可を得て、相続人全員の法定代理人として遺産に属する不動産を売却し、その所有権移転の登記手続きを行うことができます。
また、家庭裁判所は、強制執行を保全し、または事件関係人の急迫の危険を防止するため、必要があるときは申立人または相手方の申立てにより、遺産分割の審判を本案とする仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができます。
裁判例は、審判前の保全処分として特定の遺産の処分禁止の仮処分については、本案の終局審判において、当該遺産につき保全処分の申立人への給付が命じられる一応の見込みがあることの署名を要するとしています。
さらに、平成30年改正により、預貯金債権に限って保全処分の要件が緩和され、家庭裁判所は相続債務の減殺、相続人の生活費の支弁、その他の事情により預貯金債権を当事者が行使する必要があると認めるときは、他の共同相続人の利益を害しない限り、その申立てにより特定の預貯金債権の全部または一部を仮に取得させることができることとされています。



