遺産の分割/共同相続登記後・数次相続・代償分割と登記
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共同相続登記後の遺産分割による登記
従前、相続不動産につき法定相続分での相続登記がされたのち、共同相続人間の協議または家庭裁判所の審判もしくは調停により、特定の相続人が当該不動産を単独(または共有)で取得する旨の遺産分割が成立した場合には、次のようにされていました。
すなわち、「遺産分割」を登記原因とし遺産分割により持分が増加したものを登記権利者、それが減少したものを登記義務者とする、共同申請による持分移転の登記をすべきであるとされていました。
この点については、登記手続きの簡略化の観点から、令和5年3月28日付民事局長通達をもって、上記の取扱いが改められ、法定相続分での相続登記がされている場合において、遺産分割の協議または審判もしくは調停による所有権の取得に関する登記をするときは、所有権の構成の登記によることができ、かつ登記権利者が単独で申請することができるものとされています。
この所有権の構成の登記の方法により、登記権利者が単独で遺産分割による所有権取得の登記を申請する場合には、登記原因およびその日付を「年月日(遺産分割の協議もしくは調停の成立した年月日または審判の確定した年月日)遺産分割」とします。
登記原因証明情報として、遺産分割協議書(申請人以外の印鑑証明書付)または遺産分割の審判書の謄本(確定証明書付)もしくは調停調書の謄本の提供を要します。
また、当該構成の登記につき登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、その承諾書またはこれに対抗することができる裁判の謄本の提供を要します。
数次相続の相続人間の遺産分割と登記
たとえば、被相続人甲の共同相続人乙・丙のうち、乙が遺産分割未了のまま死亡し、乙の相続人A・Bが相続した場合には、甲の死亡により乙が取得した甲の相続人としての権利義務は、乙の死亡によりA・Bが承継したものと解することができますので、AとBは丙とのあいだで遺産分割の協議を行うことができます。
その結果、特定の不動産を丙の単独所有とする協議が成立したときは、遺産分割の効力は相続開始時に遡及しますので、直接丙の単独名義に相続による所有権移転の登記を申請することができます。
また、特定の不動産をAの単独所有とする協議が成立した場合には、Aは乙の相続人であって、甲の相続人ではなく、Aが直接甲から当該不動産を承継することはありません(代襲相続とは異なります)。
当該協議は、丙と乙の地位を承継したAおよびBとのあいだに、当該不動産は亡き乙が取得し、かつ乙が取得した不動産はAが取得することとする協議が成立したものと考えることができます。
そうすると第一次の相続は、乙の単独相続ということになりますので、その場合には、登記原因およびその日付を連記して、当該登記名義人から最終の相続人名義に直接相続登記を申請することができるとする取扱いにしたがい、登記原因およびその日付を「年月日乙相続(甲死亡日)年月日相続(乙死亡日)」と連記して、甲からA名義に直接相続による所有権の移転の登記を申請することができます。
代償分割と登記
共同相続人の一人が相続財産に属する不動産を取得する場合に、他の相続人に対して代償金を支払う旨の遺産分割が成立した場合、その効力はただちに生じ、当該相続人が負担した代償金支払債務の履行について、別途当事者間の債権債務の履行の問題として処理されます。
登記先例は、他の共同相続人から生活の援助を受けることを条件に、相続財産の分配を受けないものとした遺産分割調停調書による相続登記の申請書には、援助を受けたことを証する書面の添付を要しないとしています。
代償分割があった場合も一般の遺産分割による相続登記手続きと同様、登記原因証明情報として、共同相続人間の協議による場合には戸籍・除籍全部事項証明書(戸籍・除籍謄本)などの戸籍関係書類または法定相続情報一覧図の写しおよび遺産分割協議書(申請人以外の印鑑証明書付)を提供し、家庭裁判所の審判または調停による場合には審判書の謄本(確定証明書付)または調停調書の謄本を提供すれば足ります。



