わかる相続/数次相続と遺産分割
「春日部・越谷相続おまかせ相談室」による、相続・遺言・相続放棄の法文を解説しております。難しい言葉を使わず、どなたでもわかりやすいように解説しておりますので、ぜひご覧ください。
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数次相続とは、すでに開始した相続(第一次相続)による所有権移転登記が未了の間に、その相続人の死亡により第二の相続(第二次相続)が開始したような場合をいいます。たとえば、次のような例です。
甲が平成20年に死亡し(第一次相続)その子A・Bが相続をしたが、Aが平成24年に死亡し(第二次相続)その子X・Yが相続したような場合です。
数次相続が発生した場合、その相続による所有権移転登記は、第一次相続・第二次相続と順次に申請するのが原則です。しかし、中間の相続が単独相続のときには、中間の相続登記(第一次の相続登記)をしないで、第一次相続の被相続人から、直接の最終の相続人に所有権移転登記をすることができます。この場合、最終の相続人は複数人であってもよいのです。
中間の「単独相続」には、もともと中間の相続人が一人しかいない場合の他に、遺産分割・相続放棄または他の相続人に相続分のないこと(特別受益者に該当したこと)によって単独相続になった場合も含まれます。このように、中間の相続が単独相続に限り、一個の申請情報によって、直接に最終の相続人に所有権移転登記をすることができるのです。
たとえば、甲が平成20年死亡し(第一次相続)、その子A・Bが相続し、Aが平成24年に死亡し(第二次相続)その子X・Yが相続したとします。この場合、中間・Aが単独相続となる例は次のような場合です。
- 相続人が最初からA一人の場合
- 遺産分割でAが取得、Bは取得しない場合
- Bの相続放棄によりAの一人の場合
- Bが特別受益者の場合
数次相続があった場合に、中間相続人(第一次相続人)の登記を省略して、最終の相続人(第二次相続人)に、所有権登記名義人である被相続人(第一次の被相続人)から直接に所有権移転登記をすることができるのは、中間の相続が単独の相続の場合です。しかし、第一次相続(中間の相続)の相続人が複数人である場合は、相続の登記原因が、相続人ごとに異なることから、登記原因ごとに相続登記の申請をしなければなりません。
たとえば、前例と同様に、甲が平成20年死亡し(第一次相続)その子A・Bが相続し、Aが平成24年に死亡し(第二次相続)その子X・Yが相続した場合を考えてみましょう。この事例は、甲が平成20年に死亡、Aが平成24年に死亡したが、第一次相続(中間の相続)が未登記である場合において、B・XおよびYとで遺産分割協議をした結果、甲不動産を、BとXが共有で取得すると協議が成立した例です。
このような事案につき先例は、B・X・Yでなされた遺産分割協議は、①A・Bの共有にするという協議と、②Aが取得するものとして設定された持分をAの相続人X・Y間でXが取得するものとする、二つの遺産分割協議が成立したものと解すべきとしています。この事例は中間の相続(第一次相続)が、複数人による共同相続になった例です。
本件の事例では、Bが被相続人甲を相続したのは、平成20年◯月◯日であり、また、XがAを相続したのは平成24年◯月◯日であって、相続登記の登記原因が異なります。したがって、次の①および②の登記申請をしなければなりません。
- ①まず、被相続人を甲としてA・Bの名義に相続による移転登記を申請します。
- ②ついで、被相続人をAとして、Xの名義に相続によるA持分全部移転登記を申請します。
なお、数次相続の場合において、中間の死亡相続人(本例ではA)のためにする相続登記を申請する場合には、当該死亡者の最後の住所を証する情報(除住民票の移し、戸籍の付票など)を提供しなければなりません。