わかる相続/仮登記の相続
「春日部・越谷相続おまかせ相談室」による、相続・遺言・相続放棄の法文を解説しております。難しい言葉を使わず、どなたでもわかりやすいように解説しておりますので、ぜひご覧ください。
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1号仮登記の相続
所有権移転仮登記の仮登記名義人が死亡した場合、この仮登記を相続することができるか問題です。結論として、相続人は、相続を原因として所有権移転仮登記の移転仮登記を申請することができます。
仮登記を申請することができる場合
仮登記は、次の場合に申請することができます。
- 不動産登記法3条各号に掲げる権利として、次のものがあります。すなわち、所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、採石権です。これらの権利について、保存など(保存、設定、移転、変更、処分の制限または消滅)があった場合において問題となります。すなわち、当該保存などにかかる登記の申請をするために登記者に対し提供しなければならない情報であって、それを提供することができないときに適用があります。言い換えれば、申請情報をあわせて提供しなければならないものとされているもののうち、登記申請情報または第三者の許可、同意もしくは承諾を証する情報を提供することができないときに、「1号仮登記」がなされます。
- 不動産登記法3条各号に掲げる権利の設定、移転、変更または消滅に関して、請求権(始期付きまたは停止条件付きのもの、その他将来確定することが見込まれるものを含む)を保全しようとするときに、「2号仮登記」がなされれます。
なお、1号仮登記権利者と2号仮登記権利者とでは、実体上の権利者であるか否かという違いがあることから、相続による権利の移転登記については手続きが異なります。
1号仮登記権利者の相続開始による権利の移転登記手続き
1号仮登記は、登記申請情報または第三者の許可、同意もしくは承諾を証する情報を提供することができないときに、申請することができるものです。1号仮登記権利者は、すでに実体法上の権利(たとえば所有権)を取得しています。したがって、1号仮登記の権利者の相続人は、相続開始と同時に実体法上の権利を相続していることになります。
1号仮登記の権利者の相続については、次の1または2のいずれかの登記手続きによります。
- 1号仮登記の手続き上の条件が、未だ整っていないとき(仮登記義務者の登記識別情報、第三者の許可・同意・承諾を証する情報の提供ができないとき)。
1号仮登記名義者の仮登記を相続を原因として仮登記権利者の相続人に移転仮登記をします。 - 1号仮登記の手続き上の条件が整ったとき(仮登記義務者の登記識別情報、第三者の許可・同意・承諾を証する情報の提供が可能となったとき)は、次の①または②の登記をすることができます。
① 相続を原因として1号仮登記を移転する場合
次の順序で登記をそします。
a 1号仮登記権利者名義の仮登記を相続を原因として、相続人に仮登記の移転仮登記をします。
b 相続を証する情報を提供して相続人から、被相続人名義の1号仮登記を被相続人名義とする本登記(仮登記の本登記)の申請をします。
② 1号仮登記権利者名義の本登記をする場合
次の順序で登記をそします。
a 相続を原因として、相続人名義に1号仮登記の移転仮登記の申請をします。
b 相続を証する情報を提供して相続人から被相続人名義の1号仮登記を、被相続人名義とする本登記(仮登記の本登記)の申請をします。
c 相続を原因として、相続人に、a で被相続人名義となった本登記を移転登記します。