春日部相続おまかせ相談室わかる遺言・遺贈/遺贈と農地法の許可および死因贈与

春日部相続おまかせ相談室の相続・遺言・相続放棄のオリジナル解説

わかる遺言・遺贈/遺贈と農地法の許可および死因贈与

「春日部・越谷相続おまかせ相談室」による、相続・遺言・相続放棄の法文を解説しております。難しい言葉を使わず、どなたでもわかりやすいように解説しておりますので、ぜひご覧ください。
本ページは、遺言の解説です。遺言についてお困りの際は、無料相談も承っておりますのでお問い合わせください。

春日部相続おまかせ相談室

遺贈と農地法の許可

農地または採草放牧地について、包括遺贈により農地法3条一項の権利(所有権、地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権、もしくはその使用および収益を目的とする権利)が取得される場合には、農地法3条一項の定めによる許可を得ることを要しません。包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有し、相続と同様の関係にあるからです。

特定遺贈の場合の農地法の許可はどうでしょうか。
相続人を受遺者とする、農地または採草放牧地を、特定遺贈により農地法3条一項の権利(所有権、地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権、もしくはその使用および収益を目的とする権利)が取得される場合には、農地法3条一項の定めによる許可を得ることを要しません。
相続人以外の者に対する特定遺贈は、農地法3条一項の許可を要します。

判例は「遺言書において、特定の遺産を特定の相続人に『相続させる』と遺言者の意思が表明されている場合、遺言者の意思は右の各般の事情を配慮して、当該遺産を当該相続人をして他の共同相続人とともにではなくして、単独で相続させようとする趣旨のものと解するのが合理的な意思解釈です。遺言書の記載から、その趣旨が、遺贈であることが明らかであるか、または遺贈と解すべき特段の事情がない限り、遺贈と解すべきではない」としています。そして、「当該遺言において、相続による承継を当該相続人の受諾の意思表示にかかわらせたなどの特段の事情のない限り、なんらの行為を要せずして、被相続人の死亡のとき(遺言の効力の生じたとき)に、ただちに当該遺産が、当該相続人に相続により承継されるものと解すべきである」としています。

上記の判例の見解によれば、遺言書に「次の土地を、遺言者の長男Aに相続させる。◯市◯丁目◯番 農地 ◯◯平方メートル」とあるときは、所有権移転登記の登記原因が「相続」となり、農地法所定の許可を要しないことになります。
なお、農地法試行規則の改正により、相続人に対する農地の特定遺贈は、農地法所定の許可を要しなくなりました。

死因贈与

死因贈与は、贈与者と受贈者とが、贈与者の生前において行う贈与契約です。その効力は、贈与者の死亡のときに発生します。これに対して、遺贈は民法で定める遺言の方式による無償譲与であり、遺言者の一方的意思表示(単独行為)によります。効力の発生は、原則として死因贈与の場合と同じ遺贈者の死亡のときです。

死因贈与が死後処分であることから、遺贈に関する民法の規定が準用されます。しかし、死因贈与は契約であり、遺贈は単独行為であることから遺贈の規定が、死因贈与にどの範囲まで準用されるか必ずしも明確ではありません。通説は、遺言の方式、遺言能力、遺贈の承認・放棄に関する規定は準用されないとしています。受遺者が遺言者の死亡以前に死亡したときは、遺贈の効力は生じないとする規定は、準用されると解しています。

判例は、「民法554条(死因贈与)の規定は贈与者の死亡によって効力を生ずべき贈与契約(いわゆる死因贈与契約)の効力については、遺贈(単独行為)に反する規定にしたがうべきことを規定しただけで、その契約の方式についても、遺言の方式に関する規定にしたがうべきことを定めたものではないと解すべきである」としています。

死因贈与契約においては、贈与者の死後に履行義務が生じます。履行義務が生じたときには、贈与者は生存していないので、当該贈与契約で定めた贈与者の意思を実現するために、死因贈与契約において執行者を定めることができます。

受贈者の死亡について、通説は、次のように解釈しています。一般論としては遺贈の規定は準用されることから、死因贈与の効力が生ずる前に受遺者が死亡した場合には、受遺者の相続人は、贈与を受けることができないと解しています。裁判例には、「贈与者の意思は遺贈と同様に、そのような個別的な人間関係のある特定の受遺者に向けられていると解されるから」、民法994条一項(受遺者の死亡による遺贈の執行)の規定を準用することが相当であるとした事例があります。

死因贈与契約書の例です。


「死因贈与契約書」

第一条 贈与者は、贈与者の死亡によって効力を生じ、死亡と同時に後期不動産の所有権が、受贈者に移転するものと定めて、本日、贈与者が所有する後期不動産を、無償で受贈者に譲与することを約し、受贈者は、これを受諾した。

譲与不動産の表示
◯市◯丁目◯番地
宅地 ◯◯.◯◯平方メートル

第二条 贈与者は、次の者を執行者に指定する。

◯市◯丁目◯番地
越谷太郎(昭和◯年◯月◯日生)

令和◯年◯月◯日

◯市◯丁目◯番地
贈与者 千間次郎 印

◯市◯丁目◯番地
受贈者 埼玉三郎 印


 

遺言

春日部・越谷相続おまかせ相談室

本記事作成:司法書士・行政書士 美馬克康事務所紹介・プロフィール

春日部相続おまかせ相談室
代表
司法書士・行政書士 美馬 克康(みま かつやす)
事務所
埼玉県越谷市千間台西1丁目12番地1
ダイアパレスルネッサせんげん台506号
アクセス
東武スカイツリーライン せんげん台駅西口より1分
営業時間
8:30〜18:30(土日祝営業)

相続の初回相談30分無料です

電話・メールにて承っております

春日部相続おまかせ相談室の地図(マップ)