わかる遺言・遺贈/死因贈与の登記
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死因贈与による所有権移転の登記手続きはどのようにするのでしょうか。
仮登記
贈与者の生前においては、始期付所有権移転仮登記ができます。死因贈与を登記原因とする所有権移転登記または始期付所有権移転仮登記にもとづく本登記は、死因贈与の効力が生じたとき、(贈与者の死亡)以後に申請することはできます。
死因贈与契約が締結された場合には、贈与者の生存中であっても、受贈者を登記権利者とする始期付所有権移転仮登記を申請することができますが、この仮登記の申請情報および添付情報は、次のようになります。
1.共同申請による仮登記の申請
(注1)死因贈与契約を締結した日。
(注2)受贈者。 (注3)贈与者。
(注4)①登記原因証明情報(不動産登記法61条、不動産登記令7条1項5号ロ) 死因贈与契約書が、当事者、不動産の表示等が記載されて登記原因証明情報として の要件を備えているときは、これを登記原因証明情報とすることができる。
②贈与者の登記義務者の印鑑証明書(不動産登記令18条2項)
③代理人によって登記の申請をするときは、代理人の権限を証する情報(不動産 登記令7条1項2号)
(注)この書面には、登記義務者Aの住所の記載、記名押印を要する。
2.登記義務者の承諾による仮登記の単独申請
仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるときは、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができます。この場合には、仮登記の登記義務者の承諾を証する当該登記義務者が作成した情報を提供しなければなりません。
(注)仮登記義務者の印鑑証明の印を押し、印鑑証明書を添付する。印鑑証明書の有効期間の定めはない。
3.公正証書による仮登記の申請
仮登記権利者が、単独で仮登記の申請手続きを行うことを約諾した公正証書の正本または謄本をもって仮登記義務者の証する情報とする場合には、仮登記権利者が単独で仮登記の申請をすることができます。この公正証書によるときは、承諾を証する情報に仮登記義務者の印鑑証明書の添付を要しません。
仮登記の本登記
贈与者Aが死亡したときは、始期付所有者移転仮登記にもとづく本登記の申請をすることができます。なお、目的不動産が農地の場合には、農地法指定の許可を要します。
所有権移転登記
この登記は、始期付所有権移転仮登記の本登記ではなく、死因贈与の効力が生じた(贈与者の死亡)後に所有権移転登記をする場合(仮登記の本登記でない場合)であります。
死因贈与契約の効力は、贈与者の死亡のときに生じます。したがって、死因贈与契約にもとづく所有権移転登記をする時点では、贈与者(登記義務者)は生存していないので、申請人は次のようになります。
- 死因贈与契約書で執行者が指定されていないときは、判決による単独申請の場合を除き、受贈者と贈与者の相続人全員との共同申請になります。
- 死因贈与契約書で執行者が指定されているときは、判決による単独申請の場合を除き、受贈者と執行者との共同申請になります。
(注1)死因贈与契約を締結した日。
(注2)受贈者。
(注3)執行者の指定がされていない場合、贈与者Aの相続人全員を記載する。
(注4)執行者が指定されている場合の記載例。
(注5)①登記原因証明情報(不動産登記法61条、不動産登記令別表30項添付 情報欄イ)死因贈与契約書および当該契約が効力を生じたことを証するため贈与者 の死亡事項が記載された戸籍謄抄本が該当する。なお、死因贈与契約書が私署証書 であるときは、当該契約書に押印された贈与者の印鑑についての印鑑証明書を添付 するか、または贈与者の相続人全員の印鑑証明書付承諾書を提供しなければならない。死因贈与契約書が公正証書であるときは印鑑証明書を要しない。
死因贈与契約書が作成されていない場合または不動産の表示の具体性を欠く等登記原因証明情報としての要件を具備していない場合は、次の「登記原因証明情報」を作成する。
②登記義務者の登記識別情報(不動産登記法22条)
③印鑑証明書(不動産登記令18条2項)執行者が指定されていない場合は、贈与者の相続人全員の印鑑証明書。執行者が指定されている場合は、執行者の印鑑証明書。
④相続を証する情報(不動産登記令7条1項5号イ)贈与者の相続人全員が申請人となる場合は、贈与者の出生から死亡までの除戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄抄本。
⑤受贈者の住所証明情報(不動産登記令別表30項添付 情報欄ロ)
⑥代理人によって登記の申請をするときは、代理人の権限を証する情報(不動産登記令7条1項2号)贈与者の相続人全員が申請人となる場合は、相続人全員の委任状。執行者が申請人となる場合は、執行者の権限を証する情報として死因贈与契約書を提供する。
⑦農地である場合は、農地法所定の許可書(届出書)包括贈与であっても、農地法所定の許可書(届出書)を要する。
(注1)(注2)贈与者Aの相続人全員を記載する。
(注3)贈与者Aの相続人全員の住所の記載、記名押印を要する。執行者の定めがあるときは、執行者の住所を記載し、記名押印を要する。