春日部相続おまかせ相談室わかる相続/法定単純承認の問題点

春日部相続おまかせ相談室の相続・遺言・相続放棄のオリジナル解説

わかる相続/法定単純承認の問題点

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共同相続人の全員が相続財産の処分をした場合には、民法921条の規定に該当するものとして、全員について法定単純承認の効果が生ずるのは当然です。

しかし、共同相続人中の一人が法定単純承認をしたものとみなされる行為をした場合には、他の相続人にまで単純承認の効果が及ぶのかが問題になります。これは、民法923条が、限定承認は相続人の全員が共同してのみすることができるとしていることから、相続人中の一人が法定単純承認をしたものとみなされた場合には、他の相続人は、限定承認ができなくなるのか、という点で問題となるものです。

学説は概ね次の二つに分かれています。

  • ① 第一に、相続人中の一人に、単純承認の効果が生じたことにより、限定承認は相続人全員でしなければならないという要件を欠くことになるから、相続人は、もはや限定承認をすることはできないという説です。この説によれば、単純承認となった者以外の相続人は、相続の放棄をすることができます。
  • ② 第二に、①説のように解することは、限定承認の事由を失った相続人に酷であるから、単純承認をしたものとみなされたものを含む全共同相続人は、なお限定承認をする権利を失いません。相続債権者は、相続財産の処分をした相続人に対しては、相続財産をもって弁済を受けられなかった債権額について、その者の相続分に応じて、その者の固有財産から弁済を受けることができるとする説です。

上記②説によれば、民法937条の適用により、単純承認の事由がある相続人には単純承認責任を負わせ、他の相続人については、限定承認の効果を保持することができます。

相続人Aが、限定承認または相続の放棄をした後であっても、相続人Aが相続財産の全部もしくは一部を、①隠匿したり、②私に消費したり、③限定承認の場合において、悪意で相続財産として、財産目録に記載しなかったときは、単純承認したものとみなされます。

ただし、その相続人Aが相続の放棄をした後に、①の行為(隠匿)または②の行為(消費)をした場合、その行為が相続の放棄があったことにより相続順位が繰り上がって相続人となった者Bがいたとします。そして、このBがすでに相続の承認(限定承認を含む)をした後に、Aの行為があるとき、①、②の行為をした者Aの相続の放棄は有効であり、また相続順位が繰り上がって相続人となった者Bの承認(限定承認を含む)も有効です。

有効とされる理由は、①繰り上げられた相続人の相続の承認を無意味としないこと、および②繰り上げられた相続人が相続の承認をしている以上、相続債権者を害することにならないからです。

法定単純承認とみなされる「隠匿」「私に消費」「悪意」とは、どのような意味でしょうか。次に詳説します。

隠匿とは、故意に相続財産の存在が容易にわからないようにすることです。故意を必要とすることから、しまい忘れ、置き忘れなど、相続人の不注意または過失にもとづく場合には、隠匿とはなりません。
いわゆる形見分けを超え、隠匿に該当するとした裁判例があります。この事例は、相続人が相続債務200万円の存在を知りながら、被相続人の新品同様の洋服、3着の毛皮など、二度に渡り一定の財産価値を有する遺品のほとんどすべてを持ち帰ったとするものです。

相続財産を私に消費するとは、自分勝手に相続財産を処分して、原形の価値を失わせることをいいます。「私に」とは、「隠れて」という意味に限られていませんから、公然となされた場合でも「私に」に該当します。

限定承認の場合において、相続財産の一部を「悪意」で相続財産目録に記載しなかったときは、原則として法定単純承認となります。しかし、放棄の場合は相続財産目録の作成を強制されないので、「悪意」は問題となりません。
民法921条3号でいう悪意の意味については、財産が相続財産であることを知るとともに、さらにこれを隠匿する意思、または相続債権者を害する意思があることを必要とするのが多数の考えです。

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