春日部相続おまかせ相談室わかる相続/遺産分割協議の問題点

春日部相続おまかせ相談室の相続・遺言・相続放棄のオリジナル解説

わかる相続/遺産分割協議の問題点

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共同相続人の一部のものを除外してなされた遺産分割協議の効力は、無効となるのでしょうか。裁判例は、共同相続人の一部の者の署名を第三者が無断で署名した遺産分割協議書は「共同相続人全員の意思にもとづいて作成されたものとは認め難いから、これをもって適法な遺産分割がなされたものとはいえない」としています。登記実務は、共同相続人の一部の者が参加していない遺産分割協議書を添付してなされた相続登記の申請は、受理されないとしています。

共同相続人中に行方不明者がある場合、遺産分割の協議をすることができないのでしょうか。
行方不明者は不在者として扱われることが多いでしょう。不在者とは、従来の住所または居所を去って容易に帰ってくる見込みのない者をいいます。不在者は、必ずしも行方不明または生死不明であることを要しませんが、不在者が財産の管理人をおかなかったときは、家庭裁判所は利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる者、債権者など)または検察官の請求により、その財産の管理について、必要な処分を命ずることができます。不在者の財産管理に関する処分の審判の申立ては、不在者の従来の住所地、居所地を管轄する家庭裁判所に対しておこないます。

家庭裁判所で選任された不在者財産管理人は、不在者本人の意思とは関係がないから一種の法定代理人として次の行為のみを有する権限を有します。

  • ①保存行為
  • ②利用行為・改良行為(代理の目的である物または権利の性質を変えない範囲内において、その利用または改良を目的とする行為)

不在者財産管理人は、遺産分割協議をする権限を有するのでしょうか。前述のように、不在者財産管理人は、保存行為・利用行為・改良行為についての権限のみを有します。遺産分割の協議はこれらの権限の範囲に入らないので、不在者財産管理人が遺産分割の協議に参加しようとする場合には、家庭裁判所の許可を得たうえで、他の共同相続人とともに遺産分割の協議をすることができます。なお、家庭裁判所が選任した不在者財産管理人が、民法28条前段の規定による権限外行為の許可(遺産分割協議をすることの許可)をえないで遺産分割協議をしたときは、代理権超越の行為として無権代理となります。

次に遺産分割協議書の方式について検討します。
相続人がA・B・Cの場合に、相続人ごとに同一内容の遺産分割協議書が作成され、それぞれの遺産分割協議書にAのみ、Bのみ、Cのみが署名押印して、遺産分割協議書の全部の提出があれば、登記の申請は受理されます。

遺産分割協議の成立を証する情報の作成方法については、民法上特に規定されていません。したがって、共同相続人全員の口頭による合意があれば遺産分割協議は成立します。しかし、後日の紛争防止の観点または第三者に遺産分割協議の内容を示さなければならないときは(たとえば、登記の申請、税務の申告、金融機関に対する提示など)、印鑑の押印の関係上、書面による必要があります。相続による権利の移転の登記を申請するについて、遺産分割の協議があった場合には、登記原因を主張する情報の一部として、遺産分割協議書を請求しなければなりません。

遺産分割の協議の方式については、民法上、特別な方式は要求されていません。遺産分割協議の当事者全員が一堂に会して協議をし、合意をするのが一般的であろうが、持ち回りによった場合でも、当事者全員が承認すれば、有効な協議といえます。持ち回りによった場合には、分割の内容が確定しており、そのことが各相続人に提示されることが必要です。

次の例は、一通の遺産分割協議書に、共同相続人全員が記名押印してはいないが、各相続人が各々署名押印した内容を同じくする遺産分割協議書全部を提出したときは、登記の申請が受理されるとしたものです。

  • ①同一内容の遺産分割協議書を数通作成し、それに共同相続人の各自が格別に署名押印したものであっても、その全部の提出があるときは、遺産分割の協議書とみて差し支えないとされています。
  • ②共同相続人A・B・C・D・Eの間において、A・B・Cの間の遺産分割協議書には、Aは亡き甲所有の不動産全部を取得し、D・E間の遺産分割協議書にはAは亡き甲所有不動産の全部を取得し、B・C・D・Eは遺産分割を受けない旨の記載のある協議書2通を添付してなされた、Aのみの相続による所有権移転登記の書類は受理されます。遺産分割協議書は、2通作成されていても結果的には共同相続人の全員が遺産分割の協議に参加し、かつ同意をえているものと判断できるからです。
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本記事作成:司法書士・行政書士 美馬克康事務所紹介・プロフィール

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